会長ご挨拶 

写真「甲村会長」

公益社団法人 日本河川協会会長
甲 村 謙 友
(こうむら けんゆう)

 

  地球は、川や海、湖のように液体の形で水が表面に存在する太陽系の中で唯一の星、多分、宇宙の中でも非常に珍しい星です。液体の形で水が地球表面に存在するおかげで、人間を含めて多くの生物が生息しています。水は、常に同じ場所に留まっているのではなく、太陽エネルギーによって海水や地表面の水が蒸発して雲となり、地球の重力によって雨や雪となって地表や海面に降り、地表に降った雨や雪は流下して川となって海に至り、また蒸発するという循環を繰り返しています。人間は、主としてこの水循環のなかの川や湖の水を飲料水や農業用水、工業用水に利用するとともに、美しい水の景観や水辺の自然とのふれあい等によって豊かな感性や文化を育むなど、様々な形で恩恵を受けてきています。
 一方、水循環は季節と地域によって差異があり、これに人口の集積度の差異が加わって、渇水や洪水など「少なすぎる水(渇水)、多すぎる水(洪水)」の問題を抱えています。特に近年は地球温暖化の影響で水循環が変化して、洪水や渇水が頻発するようになって、人間生活に悪影響を与えているとともに、生態系にも変化をもたらしてきています。これらの水にかかわる問題を解決して水の恩恵を享受できる持続可能な社会を構築していく必要があります。
 日本河川協会は、国民にとって安全かつ快適で自然豊かな川のあり方を探求し、河川に関する情報の交流と知識の普及に努めるとともに、河川整備及び関連諸活動を支援することにより河川文化の発展に寄与し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的にして以下に掲げる活動を行っております。川や水に興味を持たれている方々、水を利用されている方々、水防災に携わっておられる方々等、多くの方々のご参加をお願いします。



目的
 国民にとって安全かつ快適で自然豊かな川のあり方を探求し、河川に関する情報の交流と知識の普及に努めるとともに、河川整備及び関連諸活動を支援することにより河川文化の発展に寄与し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的にしています。

事業

1.河川に関する新たな知見や情報などの調査・資料収集を行い、広く一般に成果を公表する事業 【調査事業

【河川に関する意見交換および交流の場を通じた調査、資料収集】

(1) 「河川文化を語る会」

 「河川文化を語る会」は、川と人とのかかわりを河川文化として捉え、様々な側面からの知識を習得することや相互の交流を深めることを目的に、講師を招き、講演および意見交換の場として平成10年6月から実施しています。

「河川文化を語る会」の講演テーマおよび講師一覧

(2) 地球温暖化適応策に関する調査、資料収集

 地球温暖化適応策に関する基礎的な資料を収集し、ホームページに関連情報を掲載しています。
 日本学術会議や学会等における水災害適応策に関する活動に参画し、その一環として、全国各地域で組織されている大規模氾濫減災協議会等の活動を支える科学技術研究に焦点を当て、課題や問題点の把握に努めます。 また、海面上昇に関する最新研究をレビューします。
 さらに、各地域間で情報交換・情報共有ができるような場づくりに向け、必要な支援策について検討を進めます。

地球温暖化適応策に関する収集資料リスト

 
【河川に関する情報の提供および知識の普及のための調査、資料収集】

(3) 月刊誌『河川』の発刊

 月刊誌『河川』は、昭和初期から現在までの、その時々の河川事業・河川行政の歴史や社会の変遷を知る貴重な資料として、行政関係者、研究者、学生、一般の方などに広く活用され、高い評価を得ています。

月刊誌『河川』&『水利と土木』目次一覧

 月刊誌『河川』(昭和17年~)およびその前身である『水利と土木』(昭和3~16年)の目次および最新号までの本文記事をホームページで公開しています。記事は、発行年月、題名および著者のキーワードで検索でき、昭和初期から現在までの約80年間にわたる日本の河川事業の経緯と河川行政の歴史を知ることができます。記事の閲覧は、一種正会員(地方公共団体等)、二種正会員(個人会員)および三種正会員(法人・企業)の皆様が可能です。

 月刊誌『河川』&『水利と土木』の記事検索

(4) 河川情報の資料収集・解析

 河川に関する様々な情報を収集・整理し、情報発信に努めています。
 

【安全かつ快適で自然豊かな河川を実現するための調査、資料収集】

 
2.河川関連キャンペーン(「川の日」キャンペーン、日本水大賞、水防演習、河川愛護月間、水の週間等)への参画および支援を行い、 安全かつ快適で自然豊かな河川を実現するための啓発活動を広く一般に向けて行う事業 【キャンペーン事業

(1) 「川の日」キャンペーン

 「川の日」実行委員会が実施する「川の日」記念行事を事務局として支援しています。「川の日」の7月7日ごろに、商用Webサイトにバナーを掲載し、これにリンクして様々なコンテンツを広く一般に提供し、「川の日」の啓発を図っています。

 「川の日」知ってる?

(2) 水防演習に参画

 全国の会員の皆様のご賛同とご支援を得て、出水期前の5月から6月の水防月間に開催される水防演習に参画し、冊子『自分の命を自分で守るために』を作成・配布するなど、一般の方々の防災意識向上のためのキャンペーンを実施しています。

(3) 河川関係キャンペーンに参画

 河川愛護月間、水の週間のキャンペーンに参画します。

 
3.河川に関するセミナー、シンポジウム、研修等の開催および支援により、専門的知識の普及や人材育成を行う事業 【研修・セミナー事業】

(1) セミナーの開催

 水防に関する制度・法律等をテーマにした「水防研修」、河川管理・訴訟等をテーマにした「河川管理研修」、河川計画・技術等をテーマにした「河川講習会」を開催し、専門的知識の普及を図っています。

令和5年度第40回水防研修(WEB) 令和5年4月28日~5月28日 (実施済み)
令和5年度第45回河川管理研修 (集合+WEB) 令和5年9月14日~15日(集合研修)
令和5年10月2日~31日(オンデマンド研修)
令和5年度第70回河川講習会(予定)      令和6年2月頃 実施予定

 
(2)
地域河川管理技術向上への支援

  一般財団法人河川技術者教育振興機構が行う講習会等への支援を行います 。 

 
4.河川に関する功労者表彰、コンクールの実施および支援することにより、不特定多数の利益の増進に寄与する諸活動等を顕彰する事業 【表彰・コンクール事業】

(1) 河川功労者表彰の実施

 昭和24年(1949年)に創設以来、治水・利水・環境の観点はもとより、歴史・文化、河川愛護、国際貢献、学術研究、地域振興等の観点から、広く社会に対して功績のあった個人や団体を表彰しています。
 令和5年までの表彰件数は、4,340件となっています。

河川功労者名簿

 
(2)
日本水大賞/日本ストックホルム青少年水大賞

「日本水大賞」は、日本水大賞委員会(名誉総裁:秋篠宮皇嗣殿下、委員長:毛利 衛)を実施主体として、水循環の健全化と水防災に貢献する様々な活動を支援する目的で、平成10年に創設され、日本河川協会は事務局として支援をしています。毎回全国から多数の応募があり、厳正な審査によって受賞者が決定されます。表彰式は名誉総裁である秋篠宮皇嗣殿下のご臨席をいただき、受賞者をはじめ多数の関係者が参加して盛大に開催されています。

「日本ストックホルム青少年水大賞」は、2001年から日本水大賞の一環として設けられ、毎年夏にスウェーデンで開催される、若い研究者を対象とした国際コンテスト「ストックホルム青少年水大賞(Stockholm Junior Water Prize)」に派遣する日本代表を選考しています。2004年の日本代表である「沖縄県立宮古農林高等学校環境班」は、アジアで初めてグランプリを獲得、2006年の代表「京都府立桂高等学校草花クラブ」と2018年の代表「青森県立名久井農業高等学校 TEAM FLORA PHOTONICS」がそれぞれ準グランプリを獲得しました。さらに、2020年には「青森県立名久井農業高等学校 Treasure Hunters」が16年ぶりにグランプリを獲得しました。

 日本水大賞は、毎年7月7日(川の日)から10月31日まで募集を行い、翌年3月末から4月上旬に各賞を発表、6月または7月に表彰式を開催しています。
 また、日本ストックホルム青少年水大賞は、4月1日から9月30日まで募集しています。 

 
5.河川に関する図書等の刊行 【収益事業】

日本河川協会取り扱いおよび監修図書
 

6.会員活動への助成、会員への情報誌の配布、河川関係諸団体の活動への支援 【会員活動助成等事業】

(1) 会員活動への助成

 会員の親睦、交流およびサークル活動をより一層推進させるため、現在13の府県で設立されている会員組織を支援し助成を行うとともに、未設立の都道府県には会員組織の設立を働きかけていくとともに、会員が各地域において、川をテーマにした自主的な研究や地域活動への参加を行うサークル活動に対して、その経費の一部を助成しています。
 
 現在、設立されている県組織は次のとおりです。

青森県  「あおもりの川を愛する会」   愛知県  「愛知・川の会」
秋田県 「あきた川の会」   大阪府  「大阪の河川(かわ)を愛する会」
栃木県 「とちぎの川懇話会」   山口県 「やまぐち水辺交流会」
埼玉県 「彩の川研究会」   徳島県 「徳島の川づくりを考える会」
千葉県 「ちば河川交流会」   愛媛県 「えひめ川の会」
新潟県 「にいがた川の会」   福岡県 「ふくおかの川と水の会」
富山県 「“とやま”川の会」      


  現在活動中のサ-クルは次のとおりです。

関東地方
 ・埼玉の川歴史文化研究会(埼玉県)
 ・埼玉の河川名の由来を歴史の調査(埼玉県)
 ・ちばの川を訪ねる会(千葉県)
 ・千葉県内の湧水・自噴井戸の調査研究会(千葉県)
 ・千葉県の川・水に関わる土木遺産の調査グループ(千葉県)
 ・日本のいい川・いい川づくり研究会
 ・利根川流域交流会
北陸地方
 ・とやまの川探訪会(富山県)
中部地方
 ・治水史跡探訪会(愛知県)
 ・近自然工法研究会(愛知県)
中国地方
 ・山口の川の歴史・文化遺産を探訪する会(山口県)
 ・山口県の川を通じた国際交流会(山口県)
九州地方
  ・川にふれあう会(福岡県)
  ・川に学ぶ会(福岡県)
  ・森を育てる会(福岡県)

 
(2) 会員への情報誌 会報『河川文化』の配布

 会報『河川文化』(平成10年4月創刊,年4回発行) は、「川における様々な文化」をテーマに全国各地からの情報を発信する会員向けの情報誌で、無料配布を行っています。

          【特 集】

第99号 9月  人と川の四半世紀
第100号 12月  人と川の新時代への歩み~100号を総攬する~
第101号 令和5年3月  荒川
第102号 6月  川の碑
 

会報『河川文化』閲覧サービス

 会報『河川文化』のバックナンバーを閲覧することができます。

会報『河川文化』記事検索

 第1号(平成10年発行)から最新号まで、全ての記事が検索できます。これまでに集積された膨大な記事の中から必要とする情報を選び出せます。

 「閲覧サービス」・「記事検索」ともに、対象は一種正会員(地方公共団体等)および二種正会員(個人会員)の皆様です。 

 
(3) 河川関係諸団体の活動への支援・協力

 河川に関係する諸団体が行う公益的な活動に対して、支援・協力をしています。


沿革

 日本河川協会は、昭和15年に全国的な大水害が頻発する悲惨な状況の中で、水害を防除するためには河川に関する国民の認識を深め、官民の一致協力が必要であるとの見地から、全国の都道府県の要請と支援を受けて設立されました。
  設立後、河川講習会の開催、河川愛護思想の高揚と実践、および水防訓練の奨励を3大事業として活動を開始しましたが、残念なことに戦争により協会活動の一時休止を余儀なくされました。しかしながら、終戦直後の昭和20年代の激甚な水害が相次ぐもとで、河川協会は定款を改定し体制を整えて再発足することとなりました。その後今日まで、当協会を構成する地方公共団体、各都道府県の河川協会、および建設関連企業等の会員が一体となって、治水・利水政策の研究、河川の知識の普及、治水・利水事業の促進等の諸事業に取り組み、国土の保全と発展に寄与してきました。

 当協会は、このような長年にわたる成果を踏まえ、国民にとって安全かつ快適で自然豊かな川づくりのために、平成9年12月に定款を変更しました。これは、近年各種の環境問題が地球規模へと拡大する状況の中で、河川に対する自然志向が一段と強まり、その一方で様々な河川利用に対する要望も強くなってくるなど、河川に対する社会的関心の高まりに並行して地域住民や地域団体による川にかかわる諸活動が活発化してきたことが背景になっています。今後の協会活動は、従来の河川事業促進活動に加えて、多くの方々に個人会員になっていただき、全国的規模で河川文化の発展のために幅広い活動を展開していこうとするものです。
  さらに、当協会は、平成23年度より内閣府から公益社団法人として認定を受け、不特定多数の利益の増進に寄与する公益事業を進めてきております。

【 主な沿革 】
昭和15年
(1940)
11月
「河川協会」設立
昭和23年
(1948)
6月
「日本河川協会」に名称等定款の変更
昭和27年
(1952)
3月
社団法人設立許可(建設大臣)
平成 9年
(1997)
12月
河川法改正(6月)等を背景に定款の変更(目的、事業、会員等)
平成23年
(2011)
3月
公益社団法人認定(内閣総理大臣)
平成23年
(2011)
4月
公益社団法人移行

組織

 現在の役員は、会長1名、副会長2名、理事20名(専務理事、常務理事を含む)、監事2名で、任期は2年です。

  会  長  甲村 謙友 (こうむら けんゆう)
 


 【組織図】組織図


 【役員名簿pdficon


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