第24回 日本水大賞 2022日本ストックホルム青少年水大賞 
名誉総裁 秋篠宮皇嗣殿下のお言葉 
   

2022年6月14日

 本日、「第24回日本水大賞 2022日本ストックホルム青少年水大賞」の表彰式が関係者の出席のもと3年ぶりに開催され、皆様にお会いできましたことを大変うれしく思います。

 一昨年と昨年は、COVID-19の感染状況に鑑み、表彰式が開催されないこととなり、受賞された方々に直接お目にかかる機会が得られず誠に残念でした。感染症の流行は、まだしばらく続くことと思います。この状況が一日も早く収束し、人々の生活の安寧とともに、水に関わる活動をされている方々が活動を進めやすい状態に戻れることを切に願っております。

 さて、水は、私たちの日々の暮らしを取り巻く自然の中で、もっとも身近な存在のひとつであり、人類のみならず地球上の生命にとって必要不可欠であるとともに、かけがえのない恵みを与えてくれるものであります。そのいっぽうで、昨年も7月に静岡県熱海市での大規模な土石流の原因となった線状降水帯の発生による豪雨など、多くの自然災害をもたらすものであることも決して忘れてはなりません。
  また、国連が掲げた2030年までの「持続可能な開発目標」、いわゆるSDGsにも「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」との目標が掲げられており、水の問題は地球的規模の課題として積極的に取り組まなければならないものとなっております。

 今回の第24回日本水大賞には「ペシャワール会/PMS」の活動が選ばれました。干ばつが深刻化するアフガニスタンにおいて、故中村哲医師が「緑の大地計画」を立案し、現在までに全長27キロメートルの用水路や11か所の取水堰を建設したことにより、1万6500ヘクタールの耕地に安定した水量が確保され、それにより約65万人の生活が支えられています。

 また、「2022日本ストックホルム青少年水大賞」には、今回寄せられた12件の応募の中から、「青森県立名久井農業高等学校 フローラハンターズ」の活動が選ばれました。世界の乾燥した地域では、降水量や灌漑量を上回る蒸発が、地表付近に塩類が集積する原因となり、農地などの大規模な荒廃につながっています。そこで、地下に石灰層を埋設して、塩類集積を抑制するシステムを考案しました。その技術や材料は、いずれの地域でも比較的容易に調達・活用できるものと考えられます。

 私たちは、水から受ける恩恵に感謝し、安全で美しい水環境を礎とした国土と自然を、後世に引き継いでいかなければなりません。本賞が、そのひとつの契機となり、多くの人々がそれぞれの地域で水を守り、水について考える活動を実践していかれることを願っております。

 おわりに、本日受賞される方々に心からお祝いを申し上げますとともに、水に関わる皆様の活動が、日本はもとより世界へと発展していくことを祈念し、私の挨拶としたします。