第23回日本水大賞 2021日本ストックホルム青少年水大賞 
名誉総裁 秋篠宮皇嗣殿下のお言葉 
   

令和3年6月15日 

 「第23回日本水大賞・2021日本ストックホルム青少年水大賞」において、数多くの応募の中から選ばれ、受賞された皆様に心からお喜び申し上げます。

 昨年に続き、本年もCOVID-19の蔓延が見られる現状に鑑み、表彰式は開催されないこととなり、皆様にお目にかかる機会を得られず、誠に残念です。この困難な状況が一日も早く収束し、人々が平穏な生活に戻れるよう切に願っております。

 そのような中、昨年の嬉しい出来事として、ストックホルム青少年水大賞の国際コンテストで、青森県立名久井農業高等学校の生徒が、16年ぶりとなるグランプリを獲得したことがあげられます。この研究は、日本にある「三和土(たたき)」の技術を応用して、世界の農業生産に大きく貢献する可能性を秘めたものであり、大変喜ばしく思います。

 さて、私たちの暮らしを取り巻く自然の中で、もっとも身近な存在のひとつが「水」と言えましょう。水は、人類のみならず地球上に存在する生命にとって必要不可欠であるとともに、かけがえのない恵みを与えてくれます。そのいっぽうで、昨年の7月豪雨などに見られるように、近年は線状降水帯の発生により、各地で甚大な被害が発生しております。このように、水は恵みをもたらすだけではなく、大きな自然災害にもなりうることを認識することが肝要であると考えます。

 本年の第23回日本水大賞には133件の応募が寄せられました。今回の一つの特徴は、現地に根ざした海外での活動の多さであり、日本水大賞が始まって以来、初めて海外における活動が大賞に選ばれました。また受賞各賞には、水環境の保全や改善につながる活動が多く選ばれたほか、水防災に関わる活動や、海外への生活用水支援活動、生き物を守る活動が選ばれ、それらすべての取り組みが大変印象深いものでした。

 2021日本ストックホルム青少年水大賞には20件の応募が寄せられました。大賞の研究は、淡水藻類の吸水能力などを利用して汚染水処理の構築を試みるものでした。審査部会特別賞の研究も、震災に関わるものであり、東日本大震災から10年が経過した現在、このように復興や防災に寄与する試みが若い世代の方たちによって行われていることに深い感銘を覚えます。

 現在国際連合では、2030年を目指し、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」、いわゆるSDGsを推進しており、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」という目標が掲げられております。

 このように私たちは、水から受ける恩恵に感謝し、安全で美しい水循環系の健全化に取り組む必要があります。本賞が、その契機の一つとなり、多くの人々が水を守り、その大切さを継承し、水に関わる様々な問題について考える活動を実践していかれることを願っております。

 おわりに、水に関わる皆様の活動が、日本はもとより世界へと発展していくことを祈念し、お祝いの言葉といたします。