川のQ&A  

      Answer

受 付 日: H11年9月22日受付
表  題: 川の名前って…こういうことです
氏  名: 小林 満男
職  業: 会社員

日本の河川の名称は各々の川によりいろいろと由来があります。

川の長さ(流路延長)はその川の河口から源流までです。

その場合の川の「名前」は諸支川が合流したその川の下流部(河口)の名前です。

河川法上一般にその川の下流部(河口)の名前を使っています。

河川の名称について少し詳しくお話します。

 ご質問の中の「信濃川」を例にとって説明しますと、この川は上流の長野県内では千曲川ですが、新潟県の県境を越えると信濃川と名前が変わります。

 信濃川の名称は上流の長野県の旧国名の信濃にもとずくもので、信濃の国に発する川、信濃の国から流れてくる川、こんな意味から越後の人々はこの川を信濃川と呼ぶようになったようです。

では国名の信濃の語源というと、以下の諸説があります。

  1. 山地の階坂が多いので、「階野(シナノ)」即ち段丘のことで、「シナ」は階段の古語。
  2. 篠が多く生えているために、「篠野(シノノ)」なる語が変化したもの。
  3. その他

では千曲川の由来はというと、次のように幾つかの説があります。

  1. この川は、非常に屈曲が激しく、多くの曲流点があるためとう説。
  2. 「チク(崖)・マ(袋状の湿地)」で崖下の袋状になった湿地のことである。長野県の豊田村から下流の千曲川は狭窄部が連続し、両岸は崖状の地形を呈している。
  3. その他

次の例として「紀の川」をとりあげます。

 紀の川は日本で最多雨地帯に数えられる大台ヶ原から吉野を通り、和歌山市内を貫流して紀伊水道にに入る。上流の奈良県内では、吉野川と呼ばれるが、これは桜で名高い吉野地方を流れる川の意です。

 

吉野の語源には以下の説があります。

  1. 「ヨシ(美称)・ノ(山麓の傾斜地)」の意
  2. 「良い野」のことで、平野の少ない吉野地方では稀少な適地を指した地名
  3. その他

 また同様に紀の川は「紀の国の川」、「紀伊国第一の大河川」あるいは「紀の国を流れる川」ののこと。

 

この「紀の国」の由来には、以下の諸説があります。

  1. 木材の産地であるので「木の国」といわれ、それが「紀の国」に変わった。
  2. アイヌ語の「キ(禾本科草木の茎)」による。紀の河口には、ヨシ・アシが繁茂していたことにちなむ国名。
  3. その他

最後に「阿賀野川」について

 河川法による一級河川の指定では「阿賀野川(阿賀川を含む)」とあるが、上流の福島県内では阿賀川、下流の新潟県に入ると阿賀野川と呼び分けられることもある。また、かつては只見川の合流点より上流が阿賀川、下流が阿賀野川であったという人もいる。

 

阿賀野川・阿賀川の語源については、以下の諸説がある。

  1. 阿賀野は「揚野」のあて字で、開墾しても水田にならない小高い土地のこと。
  2. 「アガ」は崖地を意味する地形語の「ハカ」の転化したもの。
  3. アイヌ語で水のことを指す「ワッカ」から転化したもの。
  4. サンスクリット語を漢訳した仏教語の「アカ(閼伽)」が語源。
  5. その他

(参考文献:河川の名称 松原峯生 著)
以上ですが回答になりましたでしょうか?